幹事長インタビュー

2018年度前期幹事長に就任した山中雅人会員へのインタビューです。聞き手は報道担当官です。

Q1. 山中幹事長の生い立ちをお聞かせください。

僕は専業主婦の母と、高等専門学校教師の父との間に生まれ、鹿児島県で育ちました。
小、中は地元の公立学校に通い、高校は学区の問題で宮崎県立都城西高校に入りましたが、管理教育に嫌気がさし、二年留年したこともあり中退しました。その頃から学校の管理協に対し反感を抱くようになり、日本の学校教育を変えたいと漠然と考え始めました。その後2年間実家でぶらぶらしていましたが、その間に東日本大震災が起こり、ボランティアに行った街で人間の生活が破壊された状況を見て、他人に対して責任を持つ生き方、公務員になりたいと考えるようになりました。また、近所のお寺で在家修行という、いわば住み込み修行のようなことを行ったりもしました。師弟関係という人間関係を重視する環境の中で、公務員の夢は政治家になるという目標へと変わっていったような気がします。その後政治家という目標を抱いて一年半塾に通い、早稲田教育学部社会科に入学しました。

Q2. 雄弁会に入った理由と、雄弁会の良さについて教えてください。

雄弁会に入って、大学で学ぶ傍ら痛感したことは、政治と学問は違うということでした。学部生としての勉強も充実していましたが、社会で生きている人間、現場で生きている人間と関わらなければそれは政治ではありません。政治に対し意識を向ける以上、自らの学生としての枠を超えて社会との繋がり方を模索していくべきだと考えました。雄弁会ができた当初の歴史を見ても、当時の学生たちが鉱毒事件に関しその身分を越えて社会に対し訴えようとしたのが会のおこりです。雄弁会に入って良かったと思うことは、そういうことを言っても賛同してくれる人が多かったことです。この点を考えても、創設当初の理念はまだこの会に生き続けている、そういう気がしています。

Q3.幹事長選に立候補された理由と幹事長選で最も苦労された点についておきかせください。
僕が幹事長に立候補した当時の雄弁会は、組織の方針として「個人の理想を持つべきであり、それを持たない人間はいらない」というものがあり、それに従って人を選別するような体制でした。しかし、ついこの間まで高校生だった学部一年に「理想」を持てというのもおかしな話です。そうしたある種権威主義的と言ってもいい体制に風穴を入れるために幹事長になろうと考えました。しかし、前期の選挙では僕は落選し、同じくこの体制に風穴を開けてやろうという同期が当選しました。志を同じくする友人の当選は嬉しかったのですが、彼もまたトップダウン型の人間で、会の運営をボトムアップ式にしなければならないと考えていた自分は、今期再び選挙に出ることにしました
幹事長選で苦労したことと言えば、単純に選挙活動が難しかったことです。選挙が人間関係で成り立っている以上、一人一人に会の現状と自分のマニフェストを相手と意見を交わしながら説明しなければなりません。それは非常に時間がかかることですが、ある意味正解でした。こうした選挙では、マニフェストの内容より態度の誠実さが重視されます。地道な選挙活動を通じて、少しはそうしたことを伝えられたかな、と思っています。

Q4. 幹事長をやってみてどうでしたか
幹事長として会運営に携わり、僕が考えていたボトムアップ式は非常に難しいとわかりました。意見を言う人もいれば言わない人もいるし、会内での責任の所在もあいまいになります。今考えれば、そもそもトップダウン・ボトムアップという二元論自体が間違っていたのではないかという気もしています。
雄弁会が会員のクリエイティビティを原動力とする組織である以上、本質的に重要なのは創造力を活かせる空間か否かだということが分かりました。それを踏まえると、幹事長として求められるのはガバナンス能力であり、会員のクリエイティビティを活かす・つぶさない・活かしてあげる寛容さではないかと思います。
弁論に関して言えば、従来弁論というものは保守的なものと思われがちですが、学生弁論それ自体は学生が自らの意見を社会問題にぶつけ変革を促すという非常に革新的な発想のもとに生まれ、雄弁会もその系譜で生まれました。その変革、という観点から僕が今重視しているのはTED Talksという、アメリカのTEDというNPOが主催する講演会の無料配信プロジェクトです。ここでは、大統領から一般人まで、多くのスピーカーが多くの聴衆に自らの意見を伝えることができます。こうした空間を作り出すことこそが、本来の、自由なメディアとしての弁論の在り方だったはずです。そこには、より多くの人に自分の話、自分のこだわりを伝えたいという貪欲さ、チャレンジ精神があるはずです。雄弁会でも、そういった創造力のある、社会を変えるアグレッシブなアイデアが増えていってほしいと思います。

Q5. それでは、最後に一言お願いします。
「保守的に革新的であれ」。これは今の自分のモットーです。「日本人は保守的だ」、とよく言われますし、自分も保守派を自任していますが、保守というものは、革新を起こした過去の人々をリスペクトしながら、また自らも革新していくものではないでしょうか。もしこれを読んでいるあなたも保守派を自任するならば、我々がリスペクトすべきは過去の人々のメンタリティ、革新のメンタリティだと思います。自らの置かれた状況を分析し、自分が今できることを自分たちのできる範囲で一歩一歩広げていく、そうしたことが必要なのではないかと思います。わざわざ保守派と自らを規定しなくとも、多くの人に、そうしたメンタリティを大事にしてもらいたいと思います。
以上です。ありがとうございました。

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